脱・東京。加速する企業の地方分散。増加傾向の地方求人にアンテナを。

コロナ禍で注目を集める地方への転職、企業の地方分散で広がるチャンス

昨今、新型コロナウイルスの流行によってテレワークが浸透し、働き手たちの転職先・居住地選びの基準は変化しつつある。

地方への転職や移住が注目を集める中、地方に目を向けたのは働き手だけではなく、企業もまたその在り方を変え、長年叫ばれてきた地方分散の動きが広がっている。

今回はこの「地方への転職」「企業の地方分散」に着目する。

出社しない働き方の定着によりニーズ高まる地方転職、付随する懸念点

当媒体運営会社・株式会社ワークポートが全国の転職希望者800人に実施した「地方への転職」に関するアンケートでは、半数近くが地方（他都道府県）への転職に興味を持っていることが分かった。

理由としては、地元へのUターン転職を希望する声や、出社しない働き方が定着してきたことで居住地にこだわる必要がなくなったとする意見が多く挙がっている。

一方で6割以上が「地方への転職は首都圏での転職に比べて難しい」と考えているという調査結果も出ており、要因としては企業数や求人数の少なさを懸念する声が大多数を占めた。

実際に東京への一極集中化はかねてより問題視されてきた。しかしこれに関して、コロナ禍で是正の兆しが生まれつつある。

相次ぐ大手企業の地方移転、「脱・東京」コロナ禍により図らずも追い風

コロナ禍において、大手企業を中心に本社機能を東京から地方へ移転させる動きが相次ぎ、注目を集めている。

＜代表例＞

株式会社パソナグループ（大手人材派遣会社）

2020年9月、本社機能の分散を発表。2023年度末までに、グループ全体の本社機能社員約1,800人のうち約1,200人を兵庫県の淡路島へ異動させ、本社機能を段階的に移していく計画を発表した。

株式会社ジャパネットホールディングス（大手通販会社）

2020年11月、福岡市天神に新拠点を設け、本社のグループ経営機能の一部（人事・経理・経営管理部門など）を移転することを発表した。

株式会社アミューズ（大手芸能事務所）

2021年4月、新たな拠点となる「アミューズヴィレッジ」を山梨県・富士山麓に創設し、2021年7月より本社とすることを発表した。

このほかにも、株式会社ルピシア（大手茶類販売会社）が北海道虻田郡に本社を移転、森田薬品工業株式会社（老舗薬品メーカー）が創業の地である広島県の福山事業所に本社を移転・統合するなど、業界を問わず多くの地方移転が話題となった。

移住支援や企業誘致など、人や企業を地方へ呼び込む動きはこれまでにもみられていたが、昨今の新型コロナウイルス流行による働き方や職場環境の見直しが、その動きを後押した様子がうかがえる。

加速する地方分散で広がる選択肢、増加傾向の地方求人にアンテナを

「脱・東京」の流れは、地方における人口減少の克服・地方経済の発展・雇用の活性化などに対し、ポジティブな効果が期待できる。

地方への転職に興味を持ちながらも、企業数や求人数の少なさを懸念している多くの働き手にとってこの「地方の活性化」は、自身の選択肢を広げることに繋がるだろう。

企業の地方分散が加速し、地方転職のチャンスは着実に広がっている。
地方転職を視野に入れている場合、常にアンテナを張り、増加傾向にある地方求人をこまめにチェックしておくことで、不意に訪れるチャンスをしっかりとものにしてほしい。

これを機に、地方の求人にも目を向けてみてはいかがだろうか。

※出典：2020年11月24日転職希望者のホンネ調査（株式会社ワークポート）https://www.workport.co.jp/corporate/news/detail/741.html